小百合さんが、芥川陽子さんから勧められ、借りてきた本があった。
『ハッピーバースデー』(青木和雄・吉富多美著 金の星社刊)。
昨夜、読み終えた小百合さんが、「トシなら、すぐ読めてしまうね」と言った。
そこで、今朝、いっきに読んだ。
主人公あすかの11歳の誕生日から、物語は始まる。
ケーキを待っているあすかに、兄の直人が言った。
「バカな子はママ嫌いだってさ。あすかなんて、生まなきゃよかったっていってたぞ」
遅く帰った母親が、直人と話をしているのを耳にする。
母親は、「ああ、あすかなんて、本当に生まなきゃよかったなあ」と軽い口調で言った。
あすかの声が出なくなったのは、この瞬間からだ。
異変の原因に気づいた兄の勧めで、あすかは祖父母の家に預けられる。
野菜、木、虫、蜜蜂、大地に抱かれて、あすかは”心の水”を取り戻す。
祖父母の愛情もいっぱい受けて、あすかは、声を取り戻した。
ここで終わってもよさそうなのだが、物語はまだまだ続いた。
転校、差別、いじめ、虐待、命と死など。
ちょっと格好悪いが、本当に泣きながら読んだ。(内緒)
あすかは、祖父に教えられた。
「何時だって、何処でだって、その気にさえなれば人は変われる」
そして兄に語る。
「人は変わるために学ぶんだよね」
こどもだけではない、大人にもぜひ読んで欲しい。
必要があれば、学んだことから自分を変えていって欲しい。
考えてみれば、人生って、最期まで学ぶことばかりなんだなあ。
自分は、どんなものが後世にプレゼントできるか、と考えながら読んだ。