五木寛之氏が、最近の連載”新・風に吹かれて”で書いていた。
人は年をとると、子どもに帰る。
その一つが、味覚だという。
小学校の教師だった母親が作ってくれた味だ。
その一つが、ジャージャー麺。
サイの目に切ったカマボコにまとわりつく味噌の味がなつかしい。
雉のすき焼き。
そして、トマトケチャップとグリーンピースが何個かのったチキンライス。
けっこう色々な味を思い出せる氏は、とても幸せだ。
帰るところがあり、そこに帰れば母の味があるのは、素敵なことだ。
現代は、お袋の味が消えて、袋の味になっている、というブラックジョークがある。
インスタント食品で育った子どもたちの味覚は、どうなるのだろうか。
食品添加物の味をおいしい、と感じている子どもは多い。
お母さんの手作り料理は、愛情一杯のはず。
子どもが、その味を懐かしがってくれたら、お母さんも喜び一杯になるに違いない。