わざわざ、冷めたトーストを食べた人はいないだろう。
第一、冷めたトーストは、硬くて食べられたものではない。
ところが、今朝、冷めたトーストを食べるはめになってしまった。
エッグや野菜を食べ、コーヒーを飲んでいたところ、小百合さんが声を出した。
「今日のパンは、どう?」
あれぇ、今日はテーブルにパンがなく、ないのかと思っていたのだ。
どうやら、いつも食べているパンを変えてみたようだ。
「忘れてた!」と小百合さんは、慌ててキッチンへ。
手作りの夏みかんマーマレードが塗られているトーストが、テーブルに届いた。
しっかり冷めていたトーストだった。
が、食べてみると、しっとりと柔らかく、おいしく食べられた。
「よかったね。FMCのヒーターで」と言い合い、納得した。
このヒーターは、水分を飛ばさずに焼くので、冷めてもしっとりとおいしいのだ。
実験料理でやってみることはあったが、日常では初めてのことだった。
冷めてもおいしいけれど、やはり温かなトーストの方がいいなと肯き合った。