顔を会わせるなり、「もう、大変だった!」と叫び声をあげたKさん。
「車の中かと思ったが、そこにもないし。
主人は、早く警察に届け出るように、と怒るし」
どうしたのかと訊ねると、預金通帳が行方不明になった、というのだ。
「しかも、2冊!」というKさんは、苦笑いをしていた。
ご主人に叱られながら、Kさんは、今日の行動をチェックしてみた。
家を出て、立ち寄ったのは、区役所だけ。
家にも車にも、バッグにもないとなると、盗まれた以外なら、区役所しかない。
立ち寄ってから、すでに2時間は経過していた。
書類を書いた場所に行ってみると、そのまま通帳が残っていた。
『よかった』というKさんの気持ちは、ほんとによくわかる。
それにしても、2時間もの間、誰も気づかなかったとは。
普通なら、誰かが拾って、区役所で保管していてもいい時間だ。
通帳が、そこにあることが、ごく自然のように感じられたとしたら面白い。
それにしても、忘れ物には注意したい。
今回は、無事に発見できてよかったが、拾得物になったりしたら、また面倒だ。
Kさんが、行動を、一つ、ひとつ確認できて、ほんとによかったと思う。