岡部伊都子さんの「遺言のつもりで」を読んだ。
岡部さんの一生が、語り下ろしされている。
今年83歳の岡部さん、129冊目の最後の本になるという。
1970年、岡部さんは生まれて初めて、大阪弁の詩を書いた。
それが、「売ったらあかん」という詩だった。
売ったらあかん
友だちを 売ったらあかん
子どもらを 売ったらあかん
まごころを 売ったらあかん
本心を 売ったらあかん
情愛を 売ったらあかん
信仰を 売ったらあかん
教育を 売ったらあかん
学問を 売ったらあかん
秘密を 売ったらあかん
こころざしを 売ったらあかん
大自然を 売ったらあかん
いのちを 売ったらあかん
自分を 売ったらあかん
自分を 売ったらあかん
自分が差別から解放されなんだら、あかん。人間やない。
自分が解放されていかへん、既成観念にしたがう、そこから解放されんとあかん。
それには、自分が自分を変えることや。育てることや。
大好きな随筆家の岡部さん。
しっかりと遺言を受け止めて、自分を育てていきたい、と思う。