岡部伊都子さんが、29日逝った。
今朝の新聞で読んで、目頭が熱くなり手を合わせた。
大好きな随筆家で、ほとんどの著作を読んだ。
ぜひ、一度お目にかかりたいと思い続けてきた。
『遺言のつもりでーー伊都子一生語り下ろし』が最後の出版かと思われた。
が、2006年11月『伊都子の食卓』(藤原書店刊)が、ほんとの最後になった。
この本は、それまで書き続けてきた文の中から、食品に触れたものを集めたものだ。
「ともかくも、今夜はおいしいものを食べてちょうだい。
あなたのいちばん好きなものを食べて、それから、これからどうするかを決めましょうよ。
おいしいものを食べて、美しく化粧をしてね。
それからよ、死ぬのは」(夜中のお餅ー西瓜好きから)
よく、そう言っていた岡部さんだ。
最期に、西瓜を口にされたのだろうか。
『食卓』は、これから自分のテーマにもなる。
細やかで、優しく、激しく、厳しい岡部さんの目線、生き方を、学び続けていこうと思う。
お会いしたことなく、人生の師を失ったのは悔やまれるが、冥福を祈りたい。