半年振りくらいに、もうすぐ80歳になる中学時代の恩師を訪ねた。
「ひさしぶりだなぁ。よく来た、よく来た」と書斎に通された。
「君達に会えるのが、一番の楽しみなんだよ。
送ってくれる通信を読ませてもらって、元気でいることは、わかってるんだけどね」と恩師。
その日は、お1人で留守番をされていた。
「どうぞ、お構いなく」と言ったのだが、恩師は、「こんなものしかないが、甘酒だ」と、カップを出して下さった。
正直、甘酒は苦手で、飲みたくないものだったが、恩師に出されると、そうもいかない。
少しづつ口に運んで、ようやく飲みきった。
3年くらい前までは、奥様と海外旅行を楽しまれていた。
一昨年は、足を痛めて、杖をついてようやく歩いておられた。
足の具合が少し回復して、昨年は、舞台をご夫妻で楽しまれるようになった。
「耳が遠いけど、松健サンバは、面白かった。今年は、舟木一夫を観に行くことにしてる」と楽しそうだ。
「また、みんなを連れて来てよ」
「はい」と返事をしながら、”時々は、やっぱり顔を出そうか”と思った。
ご夫妻を観劇にご招待できたら、それもまた楽しいことだと、実現を夢見ている。