お茶の伊右衛門が、豆巾着のおまけをつけている。
”かさねいろ豆巾着”という、全8種。
”かさねいろ”とは、衣服の色彩美からはじまった配色のこと。
四季の情景(植物など)をモチーフとして、色をかさねることであらわした。
「季」に対する、繊細な美的感覚がうかがえる、とある。
では、見てみよう。
右から春、夏、秋、冬の順に並んでいる。
春の上は紅梅、下は藤。
夏の上は夏萩、下は橘。
秋の上は紅葉、下は鴨頭草(つきくさ)。
冬の上は枯色、下は氷重(こおりがさね)。
伊右衛門は、これまでにもいろいろなおまけを、出していたように覚えている。
それらは、おまけとして収集しようという気持ちになるものではなかった。
だが、この豆巾着は、何十年ぶりに、面白くて夢中になって集めた。